緩やかに死へ向かう少女の話『のまひゅ』

 

■『のまひゅ』

価格:無料

※シナリオ後半開放:360円


プレイ時間:3時間程度

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◆ストーリー

 「なぁ。さっきの、いい写真が撮れたと思わん?」

 

突然そう話しかけてきた、少し変わった大阪弁を喋る小柄な少女

 

それが少女、鈴乃(すずの)との出会いだった…

 

その日から主人公は、彼女の写真を撮ることとなる。

 

美人で看護師を務めている主人公の彼女。

 

アルバイト先の陽気な店長。

 

そして、何やら秘密を隠していそうな鈴乃。

 

魅力のあるキャラクターと共に、物語は紡がれていく。

※公式から引用

【編集者レビュー】

『のまひゅ』はNormalizeHumanCommunicationの略称になります。
『ほしのの。』、『colors』、『Airs』を手がけるten✝cross(テンクロス)が手がけるノベルゲーム。

 

もとは2009年公開のVisual Flash Novel(ブラウザ版)です。
下記URLから無料でプレイも可能となっています。

http://mukiryokukan.sakura.ne.jp/NormalizeHumanCommunication.htm

 

それから、携帯アプリ版、アプリ版とアップデートを重ねてきました。
アプリ版へ移植の際、キャラ絵を大幅に変更したようで、
2009年公開のゲームですが、一切古さは感じられません。

私は原作の絵のほうが雰囲気に合っていたような気がして好きですが・・・。

 

 

▼ストーリーについて

この物語は、緩やかに死へ向かっていく少女と、
周りの人間関係を描いた作品です。

そんな少女とであった主人公は、
彼女に自分の写真を撮って欲しいと頼まれる。

そんな写真の使い道は、自分の遺影。

死んでしまうかもしれない少女、鈴乃とアマチュアカメラマンの主人公のお話。


よくある「難病のヒロイン」ですが、
鈴乃はすでに死を受け入れています。

原作者は、"人が死ぬけど泣かない話にする"と名言していることも、
テンプレート化した病気や死をテーマにした作品と一線を画する点です。

ドラマティックな死に人の心は揺れるものですが、
この作品は最後まで、日常生活の中の小さな死でした。

 

シナリオの軸として、【キュブラー=ロス】が提唱した"死の受容のプロセス"が使われています。

 


死の受容のプロセス


エリザベス・キューブラー=ロスが『死ぬ瞬間』の中で発表したもの。以下のように纏められている。すべての患者がこのような経過をたどるわけではないとも書いている。

 

否認
自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階である。
怒り
なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。
取引
なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる段階である。何かにすがろうという心理状態である。
抑うつ
なにもできなくなる段階である。
受容
最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階である。

 

エリザベス・キューブラー=ロス - Wikipedia


 

 

 


芝居がかったことや、希望をもてそうな発言をする主人公と
死を受け入れてしまった鈴乃との会話に胸が痛くなりました。

 

ただ、この定理には但し書きが存在します。

 

 

 

 


しかし、たいていの場合、

各段階を通してずっと存在し続けるものがひとつある。

 

それは希望である。


 

 

この場で、
この作品の中での『希望』について触れてしまうと
ネタバレになってしまうので、言及はしません。

もったいなくて書くことができません。


もっと劇的な死に方だったら、
ぼろぼろ泣かせてくれるのに、
一貫して緩やかに死に向かっていくストーリーになっていて、
プレイヤーの涙を無理やり押しとどめているように感じました。

 


あー、泣けた!すっきりした!
とはならない。いや、なれない作品です。

 

それだからこそ、
この作品を通じて"死"について一考できるチャンスを得ることができると思います。

 

2,3時間程度の作品です。
ぜひ試しにダウンロードしてみてください。

 

 
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